巻頭言 ほほえみ第81号(令和3年9月号)

巻頭言 ほほえみ第81号(令和3年9月号)

2021.09.14 カテゴリー[ document ]

 新型コロナウイルスの変異株がはびこる中での東京五輪は無観客で開催され、盛り上がりを欠いたまま終了しましたが、新規感染者は若年者を中心に激増しており、東京などでは入院できず自宅療養を余儀なくされている人であふれかえっている状況です。富山県でも感染者は増えていますが、幸い医療ひっ迫にはなっていません。希望する高齢者・医療関係者のワクチン接種が終わっているので高齢者の感染が激減しており、今後は高齢者施設や病院ではクラスターにはならないと思われますが、ワクチン接種していない職員が感染した身近なケースもありますので、感染防止には今後とも従来通りの十分な対策を取っていきます。早くワクチン接種を希望する人に打つべきですが、当院が関与する申請済の2ヶ所の大規模職域接種が政府の無謀政策のため1ヵ月以上も遅れており、振り回されています。
 光ヶ丘病院は7月1日に開設40周年を迎えました。職員には電子カルテに5分間の動画メッセージで、いつでも視聴できるようにしました。平成2年に老健おおぞらを、平成5年に人間ドック棟を建てた父は翌年の平成6年に病死したので理事長在籍は13年でしたが、私の理事長歴はその倍の27年になります。一番の思い出は平成9年から11年にかけて既存病棟を改修し、病床数はそのままで百二十床の新病棟を新設したことです。8床を4床にして廊下幅を拡張して、車椅子でもゆったり移動できる1床当たり平均9平方メートルを確保できました。また、平成12年の介護保険導入で新設されたケアマネージャー試験合格を目指して皆が盛り上がって勉強会を頻回に行ない、私を含めて確か40名ほどの大量合格者が出たのも忘れられない出来事です。
 コロナ禍にもかかわらず、当院の入院患者数は去年より増えており、今だけかも知れませんが99%の稼働率となり、看護13対1病棟31床の平均在院日数をクリアするのに苦労しています。開業医や施設からの入院が基幹病院からの紹介入院より多くなり、連携・信頼関係がうまく機能していると思っています。老健も入所者数が回復し、超強化型老健を維持しています。
病院や老健の通所リハビリやケアハウスで好評な臨床美術・園芸療法・音楽療法を病棟でも取り上げて、患者利用者も職員も元気になって楽しみ、歯科衛生士も加わった摂食嚥下チームや新しく排泄ケアチームや従来からある認知症チームや感染対策チームなどが、安全安心な医療を提供する紫蘭会チームとして、地域に出かけ、地域に信頼され、地域を巻き込んだ活動をしていきたい。
 病院内の敷地に地域交流サロンや保育施設を作り、地域住民や若い職員が集まりやすくする構想や、病棟やショートステイ施設を有料老人ホームや介護医療院に転換する、一部病棟を閉鎖するなど、将来の人口減少に対応するいろんな選択肢があるのが我々の強みでもあります。将来構想は紫蘭会寺小屋メンバーなどの若い人たちで十分検討してほしい。


紫蘭会理事長  笠島 學

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