特別寄稿 ほほえみ第54号掲載(2010年4月号)

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特別寄稿 ほほえみ第54号(2010年4月号)掲載

河合さんとの思い出

理事長 笠島 學

 

 私が大学生となり、東京に住んだのは、もう44年前になります。賄い付きの下宿屋生活では、あまりにも味気なかったので、富山生まれで遠縁にあたる祐天寺の石畠さん宅と駒沢の河合さん宅には、「メシ」が目的?で、頻繁に遊びに行きました。今は地下鉄が通過しますが、「玉電」の駒沢で降りてすぐ、河合医院がありました。おじさんは内科を、おばさんは眼科を開業されていました。とても温かく愉快な家庭で、3人の娘さんと一緒にトランプなどをワイワイ言いながら遊んだことが、懐かしく楽しく思い出されます。おばさんは、今は一人暮らしですが、たまに訪ねると、その溌剌とした元気さには、いつも驚きます。3階の居間までの、今にも転げ落ちそうな急階段を何回も行き来しながら眼科診療をこなし、趣味の陶芸では展示室もあり、私は、頂いたグイノミを我が家で愛用しています。絵心もあり、俳句も嗜まれ、まさにスーパー老女医といえましょう。「ほほえみ」を送る度に、無理をしないでねと、逆に?私の健康を気遣ってくださるお便りを、素敵な絵を添えて送ってくださるのに励まされています。

巻頭言 ほほえみ第54号(平成22年4月号)

 今年は雪が多かったので7回ほどスキーを楽しみました。といっても、スキー場まで1時間かからないので、一人で車に用具を入れ、日曜でもリフト待ち無しのガラガラのスキー場で自己流のヘボ滑りを2時間余してくるだけですが、雲がこんなに早く動くことに驚き、小枝から垂れたツララの輝きが新鮮に見え、風を切って滑る爽快さを体験できました。

 

 さて、4月に診療報酬改定があります。長年の医療費抑制策による医療崩壊を猛烈に受けた急性期基幹病院が高く評価されました。医療の質が評価され、在宅・地域連携への流れは一層明確になりました。限られた財源の中での多少のアップですが、医療・福祉を含めた社会保障費がいかに国民に安心を与える重要なものかを粘り強く訴えて、将来にわたって増額せざるを得ない医療費に国民のコンセンサスを得る必要があります。「明細書の無償発行義務化」は、医療の透明性を高めて患者さんへの豊富な情報提供となり、医療の信頼回復の一助になればと少し期待していますが、患者さんへの丁寧な説明がなければ、逆に不平不満が増大する危険性もあります。医療に関わる全ての者が真摯な気持ちで、安全で良質な医療を地道に提供するしかありません。

 

 当院は医療も介護も重症な方を積極的に受入れていますが、今度の改定で医療療養病棟が評価されました。4月から県の「高岡医療圏での医療系ショートステイ病床確保事業」に当院2床が委託されましたが、従来と同じように気管切開の患者さん等を受入れていけばいいと思っています。在宅医療を受けている患者さんや家族にとって緊急時の対応ができる安心感が持て、必然的に当院とケアマネや訪問看護師との在宅連携が一層密になることでしょう。

 

 私は、人材育成が法人発展の源と考えており、やる気のある職員に一つ上の資格を取れ、出来る限りの支援をすると、いつも話しています。12月に、合格率20%の介護支援専門員に当法人から6名合格し、2月には認知症ケア専門士が5名合格して、計8名になりました。まもなく認知症と感染症の認定看護師が一人ずつ誕生します。看護実習指導者講習に3名が受講し、慢性期医療協会の認定講座や医療介護福祉士の講習にも複数人を派遣しました。いずれも長期間の研修でしたが、病棟スタッフの協力の賜物と思っています。

 

 3月末に、もうすぐ発表される看護師、准看護師、介護福祉士、社会福祉士などの合格の声を聞くのが楽しみです。4月からは複数の新人ナースが入社しますが、温もりの中に厳しさがあり、この病院に勤めて良かったと思わせるカリキュラムを組んでくれると信じています。

 

紫蘭会理事長  笠島 學

巻頭言 ほほえみ第53号(平成21年11月号)

 5ヶ月前の前号では予想していなかった民主党主体の政権交代があり、医療・福祉政策がどう変わるかは全く不透明ですが、多分悪い方向にはいかないと思っています。

 

先日、介護職員処遇改善交付金を申請しました。特養などの介護職が大部分を占める職場では、他職種を含めた全職員の賃金アップをすることは可能ですが、当法人のように介護療養や老健などに勤務する介護職だけが交付金の対象となり、一般病棟・医療療養に勤務する介護職は同じ仕事をしていても恩恵に浴しないし、チームケアの一員である看護・リハビリ・ケアマネなどは蚊帳の外におかれるのは納得がいきません。全老健が主張するように、次年度は介護職員「等」交付金として全職員に交付してもらいたいものです。

 

この交付金の狙いは質の高い専門職の育成にあります。キャリアアップ研修や介護・看護などの分野の様々な「指導者研修」に、向上心のある多数の職員が受講してもらいたいし、一つ上の資格をめざす人を支援するのは法人の当然の使命です。

 

当法人で働きながら学ぶ看護学生は、ここ数年10人超であり、昼に「行ってきます」「行ってらっしゃい」と言葉を交わすのに慣れてきました。主婦の学生さんも多いのですが、絶対に初志貫徹していただきたい。また、2人の看護主任が専門看護師に挑戦中ですが、人間的にも大きくなって当院に戻り、新しい花を咲かせてくれるのを心待ちにしています。6月の慢性期医療全国大会での2題の発表に続いて、11月の全日病大会で3題の発表をしますが、臆することなく、自分たちの主張を述べてきてください。

 

さて、9月から訪問リハビリは5名の常勤体勢として高まる需要に応えていきます。非常に多くの医院・病院の先生方から依頼があり、感謝しております。今後は高岡市北部地区にも活動範囲を広げますので、ご紹介をお待ちしております。また、定員40名の病院と老健の通所リハビリ利用者は両者とも定員枠に近づきつつあります。幸い広いスペースがあるので、個々の利用者さんのニーズに応じた個性的な、飽きさせないリハビリを提供していくつもりですが、今後は短時間リハビリも視野に入れたいと思っています。

 

老健おおぞらは、開設19年が経過し、超高齢化・重症化により特養化に陥っているきらいはありますが、ターミナルケアに取り組むと共に、地域との繋がりが密な地域包括支援センターを併設している強みを生かして、短期入所用のベッドを確保して、老健の理念である在宅復帰や家庭からの受け入れを積極的に行なってもらいたいと思っています。また、グループホームおおぞらは、8月より定員を9名に増員しました。認知症ケア専門士の取得を目指し、ナースが常駐する安心で温かみのある個別ケアを実践して欲しいものです。

 

医療療養病棟は最重症の医療区分3が6割を超え、区分2の患者さんを介護療養に転棟させており、増床しなければならないのは自明ですが、病棟交換するには、ハードルもあり、特殊疾患病棟や一般病棟の将来像や政権の行方を含めて熟慮中です。

 

7月の介護教室、10月の健康教室には、地元産の新鮮な卵・野菜の即売会も行ないました。病院横の花壇の整備にも地元の協力を得ていますが、今以上に、地元の皆さんとの交流を深めたいと思っています。来年は、地元の方が楽しんで、気楽に集まれるような健康フェア、例えば、健康講座、健康相談があり、肺年齢や血管年齢の無料測定ができ、地元産の農作物の試食もできるイベントを地元の方と一緒に実行できればと思っています。

 

紫蘭会理事長  笠島 學

老健とやま 平成21年度(H21.6.20)「東海北陸ブロック大会」記念号 掲載1

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老健とやま 平成21年度(H21.6.20)「東海北陸ブロック大会」記念号2

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特別寄稿 ほほえみ第52号(2009年6月)掲載

『ヒポクラテスの木植樹20年』

介護老人保健施設おおぞら
施設長 寺畑喜朔

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巻頭言 ほほえみ第51号(平成21年6月号)

 病院沿いの玄手川の桜がいっせいに咲いた時期も瞬く間に過ぎ、新緑と水田が眼に眩しい季節となりました。富山で初めて開催される老健ブロック大会が間近に迫ってきましたが、「息災でおられ」という富山でよく使われる言葉を大会テーマとして、七百人規模で開催します。県内での演題応募が20題以上に達し、半数に絞りましたが、発表してみたいという老健職員の熱意がみなぎっているようです。在宅復帰の理念を忘れず、地域との様々な連携を重視し、多職種チームでケアの質の向上を目指す老健の意気込みが感じられる大会となればと思っています。

 

 4月から、2つの看護師養成校の実習施設となり、病棟に活気がでてきました。指導する看護師側もいい刺激を受けているようです。

 

 さて、4月から介護報酬の改定がありましたが、予想通り、介護療養病棟では最高ランクを取得していたリハビリや重症患者を引き受けていた当院では、非常に厳しい結果になりました。裏返してみれば、近隣の慢性期病院の重症加算対象者の少なさに驚くと共に、重症患者を扱える看・介護の質の高さを再認識しました。

 

幸い、当法人では、准看に対する正看比率が一気に増え、介護職の殆どが介護福祉士を取得しており、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、ショートステイ、訪問診療などの在宅部門が充実しているほうなので、医療も介護も必要な重症患者を引き受け、在宅、リハビリ、連携を重視し、地域の様々なニーズに臨機応変に、しっかりと答えていくのは当然の使命です。介護療養病棟が廃止となるまで3年となりましたが、あせらず、時間をかけて病棟を再編成し、転換老健への移行定員は可及的に少なくする方向で考えていきます。

 

 職員は法人の宝ですから、教育・研修に、従来以上に取り組んでいきたいと思っています。1年後には、複数の認定看護師を輩出するでしょうし、看護学生に対する支援は手厚い待遇をしているので、現在、働きながら学ぶ看護学生は10名を超えています。慢性期医療学会や全日病学会や老健全国大会には、複数の演題発表を予定していますが、研修したい、資格を取りたいというやる気のある職員には、惜しむことなく応援するつもりです。

 

紫蘭会理事長  笠島 學

慶應義塾医学部新聞(H21.2.20)掲載

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9,000部 月1回発行

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日本栄養療法推進協議会認定

光ヶ丘病院が日本栄養療法推進協議会認定 NST(栄養サポートチーム)稼動施設として認定されました。