巻頭言 ほほえみ第53号(平成21年11月号)

巻頭言 ほほえみ第53号(平成21年11月号)

2009.10.15

 5ヶ月前の前号では予想していなかった民主党主体の政権交代があり、医療・福祉政策がどう変わるかは全く不透明ですが、多分悪い方向にはいかないと思っています。

 

先日、介護職員処遇改善交付金を申請しました。特養などの介護職が大部分を占める職場では、他職種を含めた全職員の賃金アップをすることは可能ですが、当法人のように介護療養や老健などに勤務する介護職だけが交付金の対象となり、一般病棟・医療療養に勤務する介護職は同じ仕事をしていても恩恵に浴しないし、チームケアの一員である看護・リハビリ・ケアマネなどは蚊帳の外におかれるのは納得がいきません。全老健が主張するように、次年度は介護職員「等」交付金として全職員に交付してもらいたいものです。

 

この交付金の狙いは質の高い専門職の育成にあります。キャリアアップ研修や介護・看護などの分野の様々な「指導者研修」に、向上心のある多数の職員が受講してもらいたいし、一つ上の資格をめざす人を支援するのは法人の当然の使命です。

 

当法人で働きながら学ぶ看護学生は、ここ数年10人超であり、昼に「行ってきます」「行ってらっしゃい」と言葉を交わすのに慣れてきました。主婦の学生さんも多いのですが、絶対に初志貫徹していただきたい。また、2人の看護主任が専門看護師に挑戦中ですが、人間的にも大きくなって当院に戻り、新しい花を咲かせてくれるのを心待ちにしています。6月の慢性期医療全国大会での2題の発表に続いて、11月の全日病大会で3題の発表をしますが、臆することなく、自分たちの主張を述べてきてください。

 

さて、9月から訪問リハビリは5名の常勤体勢として高まる需要に応えていきます。非常に多くの医院・病院の先生方から依頼があり、感謝しております。今後は高岡市北部地区にも活動範囲を広げますので、ご紹介をお待ちしております。また、定員40名の病院と老健の通所リハビリ利用者は両者とも定員枠に近づきつつあります。幸い広いスペースがあるので、個々の利用者さんのニーズに応じた個性的な、飽きさせないリハビリを提供していくつもりですが、今後は短時間リハビリも視野に入れたいと思っています。

 

老健おおぞらは、開設19年が経過し、超高齢化・重症化により特養化に陥っているきらいはありますが、ターミナルケアに取り組むと共に、地域との繋がりが密な地域包括支援センターを併設している強みを生かして、短期入所用のベッドを確保して、老健の理念である在宅復帰や家庭からの受け入れを積極的に行なってもらいたいと思っています。また、グループホームおおぞらは、8月より定員を9名に増員しました。認知症ケア専門士の取得を目指し、ナースが常駐する安心で温かみのある個別ケアを実践して欲しいものです。

 

医療療養病棟は最重症の医療区分3が6割を超え、区分2の患者さんを介護療養に転棟させており、増床しなければならないのは自明ですが、病棟交換するには、ハードルもあり、特殊疾患病棟や一般病棟の将来像や政権の行方を含めて熟慮中です。

 

7月の介護教室、10月の健康教室には、地元産の新鮮な卵・野菜の即売会も行ないました。病院横の花壇の整備にも地元の協力を得ていますが、今以上に、地元の皆さんとの交流を深めたいと思っています。来年は、地元の方が楽しんで、気楽に集まれるような健康フェア、例えば、健康講座、健康相談があり、肺年齢や血管年齢の無料測定ができ、地元産の農作物の試食もできるイベントを地元の方と一緒に実行できればと思っています。

 

紫蘭会理事長  笠島 學