巻頭言 ほほえみ第51号(平成20年11月号)

巻頭言 ほほえみ第51号(平成20年11月号)

2008.10.17

 「ほほえみ」は5ヶ月毎に発行していますが、この51号が発行される11月には、もう冬将軍が迫ってくる季節です。他人事のように投げ出した福田政権のあと、麻生首相に代わったとたんに米国発の株安不況が世界中に広がり、後期高齢者医療制度のあやふやさや、あまりにもひどい年金問題が露出し、勤務医不足による地域医療の崩壊や、介護職の低賃金・なり手不足など寒々としたニュースばかり目につきます。

 

 6月に、開設以来の林総婦長(現名誉看護部長)から四半世紀ぶりに中島看護部長に交代しましたが、着実に変化のきざしが見えてきています。職員全員がどこかの委員会に所属して意見を述べる構想をもっておられます。まだ不慣れな面もありますが、職員の皆さんの協力と支援により、盛り立ててあげて下さい。

 

 光ヶ丘病院には以前から医療も介護も必要な重症患者さんが多く集まっていますが、医療療養病棟51床はほぼ百%が医療区分2か3で占められてきました。医療療養で引き受けている気管切開などの医療処置を要するショートステイも徐々に増えてきたので、県に転換意向を届出済みである介護病棟の一病棟60床を医療療養に転換する時期が、予想より早く近づいてきたと思っています。医療系・福祉系のショートステイや訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問看護、小規模多機能居宅介護などの在宅サービスを一層充実させて、近い将来確実に到来する施設から在宅への流れにしっかりと対応していくのは言うまでもありません。

 

 4月に狩野先生を常勤医にお迎えしましたが、質の高い呼吸器疾患の診断・治療や高齢者の死生観の造詣の深さに人柄が滲み出ており、病院の雰囲気が少し変わったような気がします。7月の介護教室や10月の健康教室ではアカデミックで説得力のある分かり易い講演をしていただきました。7月から松井先生も加わり、医療面が充実してきました。

 

 県西部の療養型病院介護職有志による自発的な勉強会が当院で2回開催されましたが、自院で悩んでいたこと、やり方の工夫などが時間を忘れて熱心に討議されたそうです。次回も当院で2月7日に行なわれるようですが、真のケアのあり方の追求を期待しています。

 

 従来から、リハビリ実習施設として、また介護職や栄養士や訪問看護の実習施設として学生を受入れていますが、富山福祉短大看護科と高岡市医師会看護専門学校の病棟での実習施設にも加わりました。多数の看護指導教官を育成することや看護教育プログラムの作成に取組めるので、自然な形で看護の質の向上になると思います。

 

 老健おおぞらは、やる気のある有資格者が多くいる為だと思いますが、様々な加算報酬をとれるようになりました。通所リハビリや地域包括支援センターなどの在宅部門が着実に業績を伸ばしており、全国大会とブロック大会での年2回の発表を欠かさず続けています。介護福祉士の取得者は介護支援専門員に是非挑戦してもらいたいと願っています。

 

 土蔵造りの商家を改装した小規模多機能居宅介護「ひかり一番町」は1年が経過しましたが、八嶋代表らが作り上げた地域交流の輪は大きな広がりを見せ、行事をやる毎に新聞に取り上げられています。登録した利用者は少人数ですが、通いを中心にした文字通り地域密着サービスを実践しています。10月に橘高岡市長が訪問され、中心街の活性化に役立っているとお褒めと励ましの言葉を頂きました。

 

 当法人は年間利用者四千人超の人間ドックがあり、保健・医療・福祉のバランスがとれており、今後需要が高まる在宅サービスが比較的充実し、訪問リハビリのように地域ナンバーワン部門をもっているのも強みです。また、勤務しながらの看護学生が10人もいて、資格取得に手厚い経済的援助を行なっています。また、やる気のある職員の研修会参加を、従来にも増して積極的に支援していくつもりです。医療費抑制政策は、今後多少は緩和される期待もあり、真摯な態度で安全かつ質の高い医療・ケアを行っていれば報われる時代がくると信じています。

 

紫蘭会理事長  笠島 學