巻頭言 ほほえみ第70号(平成28年12月号)

巻頭言 ほほえみ第70号(平成28年12月号)

2016.12.14

少子高齢化が徐々に進んでいます。子供や労働人口が減り、マンパワーの確保が益々困難になります。高岡のような田舎の小都市では85歳以上こそ増加しますが、高齢者の数は殆ど増えません。今後、人口減少の加速度が増すので、入院が必要な患者は確実に減るでしょう。そして家族介護力が日増しに脆弱になっていくのを肌で感じています。年120万から160万へと多死時代を迎えます。「時々入院、殆ど在宅」の掛け声で、地域包括ケアを推進するには、在宅医療の充実が欠かせません。光ヶ丘病院地域医療連携の会のメンバーの先生方からの緊急紹介が増えてきました。当院は地域医療を担っている先生方を支える在宅医療支援病院として、休日・夜間以外なら全ての患者さんを受け入れるよう、急性期機能を一層高め、安全で質の高い医療・ケアを提供するよう研鑚します。
 病院では、毎週の認知症ラウンドをはじめ、感染・医療安全・栄養サポート・褥瘡・緩和ケアが多職種チームで活動していますが、患者さん本位の姿勢を貫きたい。急性期基幹病院・特養などの施設・在宅からの入院を受け持つ看護13対1病棟は、在院日数と重症度をクリアしていますが、入院直後から退院後の事を考える素早い対応が求められます。当院の地域連携室を5人に増やしました。医療療養病棟は重症者を引き受けながら、在宅復帰率を確保し続けていますが、認知症があっても寝かせきりにしないという職員みんなの熱意と、5つとも最高ランクを有するリハビリ力も重要な役割を担っています。人件費やIT関連費用が高騰するので、従来以上の高い病床稼働率の維持が求められています。次回の改正で廃止の危機のある介護療養病棟は最高ランクを維持しながら、改正の行方を見守っています。老健も在宅復帰機能加算を取得していますが、在宅強化型にしないと生き残れないのではと危惧しています。
 地域に信頼され、入院してよかったと思われる病院・施設になるためには、優しさと温かさに包まれ、やる気のある職員がケアの質の向上に真摯に取り組まねばなりません。認定看護師も5人になり、学会発表も活発に行なっていますが、いつも言うように、一つ上の資格を目指す職員の支援を惜しみません。そして、もっと地域に出かけて、オレンジクラブが毎月行なっているように、出前介護教室などを積極的に開催し、健康に関する啓蒙を通して「地域おこし」の一助になればと願っています。

紫蘭会理事長  笠島 學