巻頭言 ほほえみ第68号(平成28年1月号)

巻頭言 ほほえみ第68号(平成28年1月号)

2016.02.12

 雪が全くない正月は記憶がないほど久しぶりで、戸惑っています。一昨年は持分無し医療法人にして後継者の経済的負担解消の一助とし、去年の11月から病院に電子カルテを導入しました。電子カルテはこれからも医療をやっていくんだという決意であり、なくてはならないツールと考えています。職員は真剣に取り組んでくれていますが、使いこなすまでもう少し時間がかかりそうです。4月からは病院在宅部門にも導入します。
 去年の3月から始めた「光ヶ丘病院在宅医療連携の会」は6回行いましたが、近隣開業医の先生方との顔の見える関係ができ、当院の理解も深まったようで、紹介も増えてきました。介護施設を含めた在宅医療に積極的に取り組んでおられる先生方の後方支援病院として機能していきたいし、勿論、厚生連などの基幹病院とは従来以上に密な連携をとっていきます。
 当院は一定レベルの急性期機能を有する慢性期主体の病院であり、認知症や寝たきりの重症患者に対応します。リハビリは4種とも最高ランクを取得しており、訪問看護や訪問リハビリや通所リハビリや短期入所などの在宅部門の充実を図っています。在宅の摂食嚥下言語担当STもいます。13対1看護病棟は、まさに地域包括ケアを実践しており平均在院日数をクリアしています。医療療養病棟と老健おおぞらは在宅復帰加算を取得し続けています。介護病棟は最高ランクを取得し、多数の看取りも行っています。2年後の改定で介護病棟は消滅するとの政府の方針です。最高ランクを取得していれば、何らかの形で残るでしょうが、病院ではなくなります。また、県唯一の特殊疾患病棟は、4月の改定で脳卒中の意識障害が除外されると厳しくなります。
 地域ごとに病床機能を再編する地域医療構想の会議には、私も委員で参加していますが、医療費を含めた社会保障費の大幅削減、病床削減が既成事実の如く粛々と進められており、無力感もありますが、精一杯発言します。
 今後は、若年労働者の大幅減少による介護職などの不足が一層深刻になります。在宅基盤が脆弱なまま「施設より在宅へ」を強調しすぎると、多死時代を迎え、介護放棄が増えるでしょう。また、国民の終末期への考え方が変わり、胃瘻などの経管栄養や中心静脈栄養が激減するかもしれません。そんな中で生き残っていくには、職員は常に向上心をもって研鑽し、安全で良質な医療・ケアを提供して、地域住民から信頼される病院・施設になることです。研修会に参加し、全日病や慢性期医療学会などで発表しましょう。5人目の認定看護師、キャリア段位介護士、医療経営士、ケアマネ、心臓リハビリ指導士、認知症ケア専門士、精神保健福祉士など1つ上の資格を取得するのもいいでしょう。法人は向上心を持つ職員を全面的に支援します。