巻頭言 ほほえみ第43号(平成17年7月号)

巻頭言 ほほえみ第43号(平成17年7月号)

2005.06.15

 6月に「富山型デイサービス」の先駆者である惣万さんを病院に招きましたが、老人・障害者・子供を地域(町内)密着で支えていく情熱あふれる素晴らしい講演でした。障害をもつ利用者がスタッフになった話や、添え寝して人生の最期を文字通り畳の上で迎えた老女の話には感動を覚えました。最後の質疑の中で、入浴介助でも食事介助でも、ただ漫然と仕事をするのではなく、どうしたら利用者に喜んでもらえるのか、利用者の為になるにはどうしたらいいのか、常に考えて行動しなさいと言われたことが印象的でした。小規模宅老所などへの介護保険での規制強化が予想され、障害者と老人の通所リハビリでは相変わらず縦割り規制が残るなど厳しい現実はありますが、惣万さん達の活動が小規模・多機能という介護保険見直し政策にかなり取り入れられており、誰でも好きな時にサービスを受けられるという「当たり前のことをした」取組が行政を動かしたと言えるでしょう。

 

 さて、平成16年度の法人決算が出ましたが、売り上げは病院で若干伸びたためアップし、人件費は上がったものの、前年とほほ同じ黒字額を確保できたのも職員の皆さんのおかげと感謝しています。病院の売り上げ増は、特殊疾患療養病棟が軌道に乗ったこと、病床稼働率が去年よりアップしたことなどが原因と思われます。しかし、10月からの介護保険施設でのホテルコスト自己負担増で入院・入所の数が減る可能性、というより、差額ベッドがうまく機能しない可能性があり、医療も介護も必要な重症患者さんが増えたため、3月から療養棟・老健で夜勤者を増やしたことによる人件費増もあり、次年度の収支は多少悪化することが予想されます。

 

 訪問看護は医療福祉機関との連携がうまくとれ、訪問リハビリの需要は順調に伸びています。2カ所の通所リハビリでは、リハビリ+入浴希望者が多くて対応しきれない日もあり、ショートステイ棟(光ヶ丘ホーム)は満床が続いていますが、在宅サービスを一層充実させるため、病院北側に通所リハビリと光ヶ丘ホームの拡張移転を来春行う予定です。光ヶ丘ホームは、大きくなっても、従来通りきめ細かい暖かい個別ケアを提供してくれるでしょう。グループホームは病院とは別物という解釈のため、農振除外申請地である北側の空き地に作れないので、既存駐車場などの候補地を検討中です。北側の空間にゲートボールができるリハビリ庭園とし、患者さんのリハビリや地域の方の交流の場にしたいと考えています。

 

 当法人に看護学生が増えており、10名を超えましたが、将来頼もしい限りです。今年から准看より正看への通信コースに3人が挑戦していますが、放送大学受講用にCSチューナーを購入しました。受講仲間の話では当院が一番学生を優遇しているようです。学生さんの中には主婦の方もおられ、育児・家庭・勤務・受験と大変でしょうが、何はともあれ初志貫徹です。全員が合格するよう願っています。

 

 10年経過した人間ドック(サンシャイン・メドック)はおかげ様で顧客数を伸ばしていますが、胃透視と胸部X線をフイルムレスに変更する予定です。4月より成績表をカラーにして見やすくしました。

 

 最近、人工呼吸器を装着したまま当院へ転院される患者さんが続きました。医療依存度が高く、重介護を要する方の入院が多くなってきましたが、患者さん本人の治療・ケアは勿論、家族とのコニュニケーションをしっかりとり、安心して療養できる環境作りに努めたいと思っています。

 

 おおぞら在宅介護支援センターは、担当地区が変わりましたが、活発に活動しており、ケアマネージャーを6人体制にしました。透明性・公平性を更に高めて、介護予防の拠点である地域総括支援センターの指定をめざして下さい。

 

来春は介護保険、医療保険の同時改正があります。国の財政負担をいかに減らすかが議論の根底にあるのは残念ですが、在宅促進や病棟機能分化が明確になり、介護予防などの新しい企画が様々な形で施行され、我々を取り巻く状況は激しい波に襲われそうです。我々は荒波に臆することなく、医療・ケアの質を高め、真摯な気持ちで、医療人として誇りと自信をもって着実に仕事をしたいものです。

 

紫蘭会理事長 笠島 學