研究発表 第12回日本療養病床協会全国研究会 札幌大会 より
会期:平成16年9月10日〜11日
T.目的
当病棟は60床の20名が胃瘻造設患者様で年々増加しています。合併症として、排便コントロール不良、瘻孔部からの漏れ、胃瘻チューブトラブル、瘻孔部不良肉芽が発生しました。その合併症により、精神的苦痛や栄養確保が充分に出来ない問題がありました。そこで、胃瘻をつけた患者様が安心して療養生活が送れるようにその対策について検討しました。
U.対象と方法
1、 対象
平成15年6月から平成16年5月まで当病棟に入院していた胃瘻造設患者様全20名としました。
2、 合併症対策
1)排便コントロール不良
便秘時は、栄養剤の注入前に冷水や白湯を多くする。下痢時は経管栄養剤と白湯を混合注入し、濃度の調節と速度を遅くする。
2) 瘻孔部からの漏れ
瘻孔部からの漏れがあれば、まず原因検査をする。体重に合わせて注入量を見直す。チューブの位置の確認、チューブの種類やサイズ変更、蠕動を促す治療薬の投与をする。速度の見直しと分割をする。
3) 胃瘻チューブトラブル
チューブ汚染予防には温度が50度の酢を停滞する。チューブの閉塞予防に溶けにくい薬を微温湯で溶かし希釈量を増やす。チューブ抜去予防は、抜けにくいボタン式の変更や栄養剤固形化を試みる。
4) 不良肉芽
イソジンシュガーを塗布する。
3、分析方法
慢性期合併症の対策実施前後を比較しました。
V.結果
対策実施後は、チューブ汚染(100%から50%)、便秘(90%から40%)、下痢(25%から5%)、瘻孔漏れ(25%から5%)、チューブ閉塞(20%から5%)、チューブ抜去(15%から5%)不良肉芽(25%から0)になりました。
W.考察
慢性期合併症の減少の効果として以下のことが考えられました。
1、排便コントロール不良
以前は薬剤使用が多かったが、便秘時は栄養剤の注入前に冷水の注入や白湯を多くし、オムツ交換時の腹部マッサージにより改善が出来ました。下痢時は経管栄養と白湯を混合注入で、濃度の調節や速度を遅くし対応しました。それでも、コントロールが出来ない時に薬剤投与しました。
2、チューブトラブル
チューブ汚染予防は、50度に加温した酢が効果ありました。チューブの閉塞予防は、溶けにくい薬を微温湯で溶かし希釈量を増やすことで解決が出来ました。
3、瘻孔部からの漏れの予防
瘻孔部からの漏れを患者様の消化器症状と捕らえ、内視鏡による精査をルーチンとしました。その結果、胃、十二指腸病変、胃内からみた瘻孔の位置やカテーテル自体の問題などが漏れの原因になっていることが分かりました。その原因の解明が適切な漏れの予防になりました。
4、不良肉芽対策
以前は、フラセチンパウダーの散布で効果が無く、イソジンシュガーを塗布することで、肉芽を乾燥させ治癒が出来ました。
X.結論
胃瘻造設患者様の慢性期合併症の対策により、患者様の苦痛の軽減や栄養確保が出来るようになりました。また、以前よりも早期に問題点を把握し、医師との連携や工夫で解決や予防が出来るようになりました。