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光ヶ丘病院
大和 寿久 豊田 恒良 湊 麻由美
はじめに
COPDでは呼吸苦、易疲労性、意欲の低下が運動療法をすすめる上で主な阻害因子となる。長期臥床になると筋萎縮、関節拘縮などのいわゆる廃用症候群が加わり、寝たきりとなることが少なくない。運動療法は呼吸苦、運動耐久性、QOLを改善させるのに効果的であることは知られ、COPDの患者には効果的な治療として確立されている。しかしながら、長期臥床したCOPDの患者にも運動療法が有効であることは今でも知られていない。そこで今回、呼吸苦とADLの改善につながった2症例を報告する。
対象
平成13年に入院した長期臥床によりADLが低下したCOPDの2症例である。
方法
運動療法としてADL訓練、歩行、ストレッチ、下肢筋の強化を行なった。パルスオキシメーターでSPO2 85%以下または新Borg scale 5以上になったら運動療法は中止した。
呼吸苦(Borg scale)、ADL(Barthel index)、筋力(Daniels法)を評価し比較検討した。
症例1
86歳 男性 20歳〜50歳過ぎまでの約30年間タバコを40〜50本/日喫煙していた。在宅酸素療法を含む加療・経過観察を行っていた。経過中、気道感染を契機に呼吸不全の増悪を来たし、入退院を繰り返していた。平成12年9月25日に呼吸不全の増悪があり某病院に入院したがADLが徐々に低下し寝たきりとなる。同時に肺炎を繰り返し、一時意識障害・摂食障害が続く時期があった。リハビリ目的にて平成13年3月26日当院に入院した。運動療法は平成13年3月27日より開始した。平成13年5月3日ポータブルトイレを自力で使用しようとして転倒して右第6肋骨骨折となる。平成13年7月28日より一般浴槽で入浴可能となる。平成13年9月22日自宅へ退院した。
症例2
76歳 女性 喫煙歴はなし。慢性呼吸不全が平成13年11月初旬より増悪し、寝たきりとなり同年11月9日某病院に入院する。症状安定し、元の介護療養病院に戻る。治療困難なため平成13年12月3日当院に入院した。入院2日目に肺梗塞を発症し、PH 7.48 PaO2 37torr PaCO2 32torr(酸素6L/分投与マスク使用)と急激に悪化した。運動療法は12月8日より寝返り訓練を開始した。病状安定し、平成14年3月8日介護療養病棟へ転棟した。
結果
血液ガス
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症例1 |
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入院時 |
PH7.42 PaO267torr PaCO240torr(酸素3L/分) |
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退院時 |
PH7.43 PaO266torr PaCO244torr(酸素3L./分) |
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症例2 |
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入院時 |
PH7.42 PaO289torr PaCO244torr(酸素1L/分) |
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転棟時 |
PH7.43 PaO259torr PaCO241torr(酸素3L/分) |
呼吸苦
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症例1 |
症例2 |
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入院時 |
Borg scale7 |
入院時 |
Borg scale2 |
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退院時 |
Borg scale2 |
転棟時 |
Borg scale1 |
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ベッド上での起き上がり動作で評価 |
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筋力(Daniels法)
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筋肉名 |
症例1 |
症例2 |
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入院時 |
退院時 |
入院時 |
転棟時 |
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腹斜筋 |
2 |
4 |
4 |
4 |
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腹筋 |
2 |
4 |
3 |
4 |
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腸腰筋 |
3 |
4 |
3 |
4 |
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大腿四頭筋 |
3 |
4 |
3 |
4 |
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中臀筋 |
3 |
4 |
3 |
4 |
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膝関節屈筋群 |
3 |
4 |
3 |
4 |
ADL(Barthel Index)
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症例1 |
症例2 |
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入院時 |
20/100 |
入院時 |
20/100 |
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退院時 |
80/100 |
転棟時 |
60/100 |
1. 呼吸苦と体幹、下肢の筋力、ADLは改善した。運動療法は長期臥床によりADLが低下したCOPDに対して効果があった。
2. SpO290%以下になったら運動療法を中止している報告があるがSpO285%以上で運動療法は可能であった。
考察
長期臥床したCOPDは呼吸苦、廃用性筋萎縮、関節拘縮等のため寝たきりになり易い。呼吸苦の減少とQOLの改善が呼吸リハビリテーションの重要なゴールの一つである。2症例とも呼吸苦と体幹、下肢の筋力は改善し、ADLは向上した。酸素療法を受けている長期臥床によりADLが低下したCOPDでも転倒・感染に留意し、積極的に運動療法を施行することにより呼吸苦と体幹、下肢の筋力、ADL改善は十分可能であると考える。パルスオキシメーターでSpO2を計測することで客観的に呼吸苦を評価可能であり、安全に運動療法を施行する上で重要だと考える。SpO290%以下になると運動療法を中止している報告が多数あるが、2症例ともSpO285%以上で運動療法を施行できた。運動療法を施行する上で許されるSpO2の下限を検討する必要性が示唆された。しかし、症例数が少ないので継続して検討する必要がある。