ほほえみ44号 平成17年12月号
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11月中旬に病院北側の農地契約を交わすことができました。地権者の方や、地下水の取水を快く御承諾いただいた地元の皆様に深く感謝致します。完成は来夏になりそうですが、二階をショートステイ、一階を通所リハビリとして、いずれも拡大移転新築を行い、病院とは二階を渡り廊下で繋ぎます。在宅重視の政策で利用者の増加が予想される18床のショートステイは、温かみのある個別ケアができるように二つのユニットで構成しますが、将来個室ユニットにも転換可能な形にしてあります。通所リハビリは二階を既存部分と合わせるので一、五メートル天井が高くなり明るく快適な空間ができます。運動機能向上などの介護予防や地域支援事業に対応できるスペースも確保しました。リハ専門職を増員し個別リハを主体とし、リハビリが必要な人に喜んでもらえるような通所リハにしたいと思っています。病院の外来リハ受診者がふえてきましたが、リハ専門職が比較的多い当法人の特徴を十分活かして、外来リハ・施設リハのみならず、通所リハや訪問リハの一層の充実を図りたいと思っています。
10月に紫蘭会研究発表会がありましたが、看護部門を中心に職種を越えて安全で患者本位の医療をやろうという気迫を感じました。病院機能評価受審の準備段階に入っており、膨大なマニュアル作りの煩雑さに挫けそうになりますが、病院のあるべき姿が浮き彫りになり、職員みんなの活力や向上心につながるものなので、少しずつでも前進するのみです。
10月から、介護保険施設の食費と居住費が自己負担となりましたが、利用者は月三万から七万という巨額の負担増を唐突に強いられ、施設側も減収となり、政府がすべき説明を放棄したに等しいため、現場は混乱しています。来年は診療報酬の引き下げ、軽度要介護者の介護保険はずしなどで医療・介護給付費の縮小と患者負担の増大が確実に進行します。療養病床は多すぎるので有料老人ホーム転換など脱医療施設化を示唆する「改革試案」も提案されました。
視点を変えると、高齢人口は当分のあいだ益々増加しますので、広義の医療給付費は減少しても、介護・福祉・保健・民間保険を含めた広義の医療ニーズは間違いなく膨大するでしょう。医療だけにこだわらず、患者さんや家族のニーズに答えられる質の高い医療やケアを在宅・施設にまたがって継続して提供できればいいのではないでしょうか。来春の改正で医療必要度に応じた慢性期入院評価の実現に期待していますが、安全で質の高い医療を評価してもらいたいものです。
光ヶ丘病院と老健おおぞらを核とする我が法人は県内の他法人と比べ在宅支援体制が充実しており、在宅サービスと施設サービスのバランス、医療保険と介護保険のバランスがうまくとれていると思っています。保険外サービスである人間ドック受診者も毎年延びています。一般病棟で医療も介護も要する重症患者の受け入れができ、特殊疾患 (1) 療養病棟が着実に機能しており、当法人に勤務しながら学ぶ若い看護学生が10人いるのも強みです。おおぞら在宅介護支援センターは来春、地域総括支援センターに指定され、介護予防の拠点となります。来夏の新築のあとはグループホームの増床移転、市街地での富山型民間デイサービスの開設も視野に入れています。
これからの医療界は多難の時代を迎えますが、医療だけにとらわれず広い視野をもち、職員の叡智を集め、真摯な態度で質の向上を目指しましょう。
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理事長 笠島 學
安君先生は中朝国境の吉林省延吉市の出身で、彼が最初に日本(富山医薬大)に留学した時にお世話したのが縁で15年間の親交があるが、当時指導した上山先生らと瀋陽にある中国医科大学を9月中旬に訪ねた。
瀋陽は富山県と友好提携を結んでいる遼寧省の省都で、かつては奉天と呼ばれていた人口八百万人の大都市であるが、地下鉄は無く、道路にはバス、車、自転車、バイク、人で満ち溢れ、運転マナーが悪いため、日本人の歩行者が横断歩道を渡るには相当の覚悟がいる。
中国医科大学は毛沢東が名づけた伝統ある医科系だけの大学で、千五百床の付属第一医院(第二医院もある)は夕方まで混雑していたが、入院時や外来受診は一家総出で来院することも一因であろう。X線フイルムは患者が保管するのにも驚いた。VIP専用の外来や病棟があり、PET診断も行っていた。6人部屋は非常に手狭だった。ICUは日本と遜色は無い。安先生は今夏に教授に就任した若きエリート外科医で、年間四百例の心臓手術をこなしている。日本では激減したリウマチ熱による弁膜症が多いが、貧富の差があり、保険が普及していないため、手術が必要な人の10から15%しか手術が受けられないそうである。北朝鮮や内モンゴルに招かれて手術をしてきたこともあり、心臓移植にも取り組んでいる。
私は安先生の通訳で、訪問看護の講義をしたが、多くの婦長さんが参加して下さり、基礎の医師や学生の姿もあった。30分遅れ(これが常識らしい)で始まり、我が法人の訪問看護ステーションの活動を中心に日本の住宅を説明しながら話したが、中国医科大学では日本語クラスがあるため、日本語のスライドは理解できるらしい。質問がたくさん出たが、介護保険は他の国でもやっているのか?ナースのストレス解消法は?リハビリ医を目指すのに日本のどこが一番いいのか?その費用は?などであった。普段はそんなに質問が出ないそうである。最後に次期総婦長さんから大学名入りの漆器をいただいたが、熱心に聴いてくれた婦長さんらと友好的な時間を過ごせた。この機会を与えてくれた安先生に感謝したい。

