手指拘縮患者における手浴効果

   浦野真琴(ケアワーカー)
   2N病棟スタッフ一同

≪研究内容≫

当病棟は60床の介護療養型病棟で、要介護度4、5の患者が80%を占めている。脳梗塞や長期臥床による廃用症候群により、多くの方に四肢の関節拘縮がみられ、手指拘縮の強い患者には手の湿潤、びらん、悪臭などのスキントラブルが多くみられた。そのため我々は古くから抗炎症、鎮痛作用があるといわれている、みかんの皮(陳皮(チンピ))に着目し、これをみかん浴(手浴)として使用する事でスキントラブルの解消、手指の関節可動域の改善が図れないかどうか研究した。

≪研究方法≫

手浴する前と手浴後の関節可動域の拡大を調べるために、外転を距離で表示する方法(計5つのポイント)を測定した。測定は手浴開始日、1ヶ月後 2ヶ月後 4ヶ月後の手浴の前後に行った

@良く洗ったみかんの皮を粗く刻み、風通しの良い所で1週間干す。


A白湯4リットルに乾燥したみかんの皮10個分を入れ、10分間煮た後8倍にうすめる。

B手浴を行う前に手指の状態を観察し発赤、びらん、悪臭、湿潤の有無をチェックする。

Cみかん湯の中で23分温め、手の甲の部分を軽くマッサージし、手指の緊張を和らげ、指を開きやすくし手掌、指の間を洗う。この全体を10分程度で済ませる。

D手浴後は、拘縮の悪化防止の為、脱臭効果のある備長炭のハンドグリップを握らせる。

≪研究結果≫

みかん湯による手浴を重ねるごとにスキントラブルは徐々に改善された。初めはスキンケアを目的にして手浴を試みたが、継続して手浴を行う事によって、徐々に関節可動域に拡大が認められた。みかん湯の中で自発的に拘縮した指を広げようとする意欲が日常的に見られる様にもなった。また、手掌内の細菌検査の結果でも調査開始時には3〜4種類の細菌が検出されたが、2ヶ月後には1〜2種類に減少した。そのうち1名はMRSA菌の感染を認めたが、2ヶ月後には検出されなくなった。しかし、一般状態の悪化のために皮膚のびらんや臭いが強くなったケースや、みかん湯の濃度が濃いために、かぶれや皮膚がむけるなど十分な効果が得られなかったケースもあった。今回の研究を通し、みかん湯の手浴はスキントラブルの改善に効果があったと考えられる







≪第10回介護療養型医療施設全国研究会
            大阪大会に参加して≫
2002・9.24


今回の研究で全国大会に参加し、パネル発表の機会を与えていただき大変勉強になりました。この全国大会は全国各地の介護療養型の施設から研究課題を出し合って皆で考えるというもので、施設ごとの日常的なケアに対する工夫と熱心な取り組みに関心させられます。中でも排泄ケアや褥瘡に対する取り組みと抑制の廃止など興味を惹くものが多数ありました。それぞれの発表で学んだことを日頃のケアに活かしていきたいと思います。








手術前 手術後
手術前 手術後


第10回介護医療型医療施設全国研究会」2002.9.24 大阪 にて